本文へスキップ
Edition · Tokyo

「下請法」で法令検索すると0件になる|通称と現行法令名のズレをMCPで埋める

e-Gov法令MCP(@codeagentjp/egov-law-mcp)のsearch_lawsは法令名マッチのため、下請法・電帳法・景表法といった通称は0件で返ります。実測ログをもとに、通称→正式名称の解決手順と、改題された法令の扱いを整理します。

codeagent.jp編集部 情報確認 約5分
Tags
情報確認
参考リンク
6件
更新性
定期更新
読了目安
約5分
更新管理

仕様・料金・提供範囲が変わりやすいテーマは、公開日・更新日・情報確認日を分けて管理します。 導入前には必ず記事末尾の一次情報と公式ドキュメントで最新状況を確認してください。

検証メモ
@codeagentjp/egov-law-mcp 0.1.0 Node.js v22.14.0 e-Gov 法令API v1
「下請法」で法令検索すると0件になる|通称と現行法令名のズレをMCPで埋める の16:9共有用サマリー画像。 search_lawsは法令名マッチ。通称で引くと0件になり、LLMが覚えている旧名も現行法令名とはズレる 1. 何が起きるか: 下請法・電帳法・景表法などの通称は例外なく0件で返る、正式名称を入れると施行令・施行規則まで一度に並ぶ、0件は障害ではなく仕様なので設定を疑っても直らない 2. 改題という落とし穴: 下請法は2026年1月1日に改題され旧名では引けない、lawIdは331AC0000000120のまま変わらない、LLMの記憶にある法令名は現行名と一致しない前提で使う 3. 運用でどう埋めるか: 通称と正式名称の対応表をCLAUDE.mdに常駐させる、固有語の部分一致で引き、find_related_lawsで周辺を回収する、条文はget_articleで取り、e-Gov URLで最終確認する
「下請法」で法令検索すると0件になる|通称と現行法令名のズレをMCPで埋める 資料 26-117U 2026.07.26 運用Tips・トラブルシュート

@codeagentjp/egov-law-mcp をClaude Codeに繋いで「下請法の第4条を見せて」と頼むと、法令が見つからないと返ってきます。接続は正常、ツールも呼ばれている。それでも0件です。

原因は設定ではなく、検索キーワードが法令名になっていないことです。この記事は、実際にMCPサーバーへJSON-RPCを投げて採った実測ログをもとに、通称と現行法令名のズレをどう埋めるかを整理した実務メモです。

接続そのものが失敗する場合はegov-law-mcpが動かない時の対処法、セットアップ手順はClaude Codeでe-Gov法令を検索する設定と使い方にあります。

まず結論

  1. search_laws は法令名マッチであり、通称辞書を持たない。 「下請法」「電帳法」「景表法」「労基法」「個人情報保護法」——試した通称はすべて0件でした。
  2. 0件は障害ではなく仕様。 設定JSONを疑っても直りません。キーワードを正式名称か、法令名に含まれる固有語に置き換えるのが唯一の対処です。
  3. さらに厄介なのが改題。 下請法は2026年1月1日に名称そのものが変わっており、旧「正式名称」で引いても0件になります。LLMが記憶している法令名は現行名と一致しない前提で使ってください。
  4. lawId は改題をまたいでも不変。 一度引き当てたIDを記録しておけば、名称変更に振り回されません。

実測: 通称6語はすべて0件

MCPクライアントを介さず、bin/egov-law-mcp.mjs に直接JSON-RPCを流して search_laws を叩きました(@codeagentjp/egov-law-mcp 0.1.0 / Node.js v22.14.0 / 2026-07-26実行)。

0 / 6
通称でのヒット
下請法・電帳法・景表法・労基法・個人情報保護法・フリーランス
5 / 6
正式名称でのヒット
外れた1件は改題済みの旧名
5,032ms → 6ms
初回と2回目以降
法令一覧をキャッシュするため初回のみ重い
6件 / 19ms
find_related_laws
個人情報保護法の施行令・施行規則ほか
@codeagentjp/egov-law-mcp 0.1.0 に直接JSON-RPCを送って計測(2026-07-26)

同じ法令を通称と正式名称で引いた結果を並べます。

通称で検索
正式名称で検索
個人情報保護法
「個人情報保護法」→ 0件
「個人情報の保護に関する法律」→ 5件(本法・施行令・施行規則ほか)
電帳法
「電帳法」→ 0件
「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」→ 3件
景表法
「景表法」→ 0件
「不当景品類及び不当表示防止法」→ 3件
労基法
「労基法」→ 0件
「労働基準法」→ 3件
フリーランス法
「フリーランス」→ 0件
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」→ 3件
下請法
「下請法」→ 0件
「下請代金支払遅延等防止法」→ 0件(改題済みのため)
通称は例外なく0件。下請法だけは正式名称でも引けない

「フリーランス」が0件で「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が3件、という差が実態をよく表しています。e-Gov法令検索が持っているのは条文と法令名であって、世間で使われる呼び名ではありません。

下請法は名前が変わっている

表の最終行だけ、事情が違います。正式名称のはずの「下請代金支払遅延等防止法」でも0件、「下請」という語だけで引いても0件でした。

改題されているためです。「製造委託」で引くと現れます。

製造委託 -> count=5
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
/ 昭和三十一年法律第百二十号 / 331AC0000000120
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
第四条の明示に関する規則 / 令和七年公正取引委員会規則第八号 / 507M60200000008
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
第七条の書類等の作成及び保存に関する規則 / 令和七年公正取引委員会規則第十号 / 507M60200000010

法令番号は昭和三十一年法律第百二十号、lawIdは331AC0000000120。旧下請法と同じものです。公正取引委員会の発表のとおり、2025年5月に改正法が成立し、2026年1月1日施行で名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、取適法)へ変わりました。

通称から正式名称へ寄せる3つの手

1. 固有語で部分一致させる

法令名に必ず含まれる固有語を1語選ぶのが、いちばん確実で速い方法です。実測では以下がヒットしました。

入力した固有語ヒットたどり着く法令
個人情報3件個人情報の保護に関する法律
景品類3件不当景品類及び不当表示防止法
特定受託事業者3件特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
製造委託5件製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

逆に 下請代金中小受託取引 はいずれも0件でした。略称として流通している語は、法令名の中に入っていないことがあるという点に注意してください。「中小受託取引適正化法」は通称であって、法令名には「中小受託事業者」としか書かれていません。

2. 対応表をCLAUDE.md / AGENTS.mdに常駐させる

エージェントに毎回言い換えさせるより、指示ファイルへ書いてしまうほうが安定します。

## e-Gov法令MCPを使うときの語彙
egov-law の search_laws は法令名マッチで、通称は 0 件になる。
以下は必ず正式名称へ言い換えてから検索する。
| 通称 | 検索に使う語 |
| --- | --- |
| 下請法 / 取適法 | 製造委託 (2026-01-01 改題。旧: 下請代金支払遅延等防止法) |
| フリーランス法 | 特定受託事業者 |
| 個人情報保護法 | 個人情報の保護に関する法律 |
| 景表法 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
| 電帳法 | 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類 |
0 件で返ってきたら設定ではなく語彙を疑い、固有語1語での部分一致に切り替える。

指示ファイルの書き方そのものはAGENTS.md・CLAUDE.mdの実務テンプレートにまとめています。

本法だけ読んで判断すると外します。委任先の政省令に実質的な要件が書かれていることが多いためです。find_related_laws は、本法・施行令・施行規則をまとめて返します。

find_related_laws { lawName: "特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律" }
[100] 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 / 令和五年法律第二十五号
[100] 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令 / 令和六年政令第二百号
[80] 公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則
/ 令和六年公正取引委員会規則第三号
[80] 厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則
/ 令和六年厚生労働省令第九十四号

施行規則が公正取引委員会と厚生労働省の2本に分かれていることが、一覧して初めて見えます。これは通称からのキーワード検索では気づきにくい構造です。

条文まで取る

法令が特定できたら、get_article に法令番号と条番号を渡します。lawIdでも法令番号でも引けます。

get_article { lawNum: "令和五年法律第二十五号", article: "3" }
(特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)
第三条 業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、
公正取引委員会規則で定めるところにより、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、
支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法(…)により特定受託事業者に対し
明示しなければならない。…

応答には毎回 source.url としてe-GovのAPI URLと出典表記が付きます。エージェントに要約させる場合でも、このURLを最終確認先として本文に残すのが安全です。

なお存在しないlawIdを渡すと、JSON-RPCのエラーとして返ります。ツール結果が空なのかエラーなのかは区別できます。

{ "code": -32000, "message": "e-Gov API returned HTTP 404" }

実際に投げているプロンプト

上記をまとめると、Claude Codeへの指示はこうなります。

egov-law MCP を使って、フリーランスへの業務委託で発注時に
明示が必要な事項を調べてください。
- 通称では search_laws が 0 件になるので、正式名称か
法令名に含まれる固有語(例: 特定受託事業者)で検索する
- 本法だけでなく find_related_laws で施行令・施行規則も確認する
- 条文は get_article で原文を取得し、要約とあわせて
e-Gov の URL を必ず併記する
- 条文に書かれていないことは推測せず「条文上は不明」と書く

最後の一行が効きます。MCPを繋いでも、モデルは足りない部分を埋めにいきます。出典が取れなかった箇所を明示させる指示を入れておくと、後から検証できる出力になります。

まとめ

  • search_laws は法令名マッチ。通称は0件で返るが、それは仕様である
  • 「下請法」は2026年1月1日に改題済み。旧正式名称でも引けず、製造委託 で引く
  • 改題されても lawId(331AC0000000120)は変わらない。IDで記録するのが堅い
  • 通称→正式名称の対応表をCLAUDE.mdに置き、find_related_laws で政省令まで回収する

法令名は変わります。モデルの記憶ではなく、毎回e-Govに聞く——MCPを挟む理由はそこに尽きます。

Primary sources

一次情報・参考リンク

About the author
codeagent.jp編集部

Claude Code / Codex / MCP を個人開発サイト運用と公開MCPサーバー開発で試し、一次情報・検証ログ・失敗例をもとに整理します。

関連して読む