「下請法」で法令検索すると0件になる|通称と現行法令名のズレをMCPで埋める
e-Gov法令MCP(@codeagentjp/egov-law-mcp)のsearch_lawsは法令名マッチのため、下請法・電帳法・景表法といった通称は0件で返ります。実測ログをもとに、通称→正式名称の解決手順と、改題された法令の扱いを整理します。
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@codeagentjp/egov-law-mcp をClaude Codeに繋いで「下請法の第4条を見せて」と頼むと、法令が見つからないと返ってきます。接続は正常、ツールも呼ばれている。それでも0件です。
原因は設定ではなく、検索キーワードが法令名になっていないことです。この記事は、実際にMCPサーバーへJSON-RPCを投げて採った実測ログをもとに、通称と現行法令名のズレをどう埋めるかを整理した実務メモです。
接続そのものが失敗する場合はegov-law-mcpが動かない時の対処法、セットアップ手順はClaude Codeでe-Gov法令を検索する設定と使い方にあります。
まず結論
search_lawsは法令名マッチであり、通称辞書を持たない。 「下請法」「電帳法」「景表法」「労基法」「個人情報保護法」——試した通称はすべて0件でした。- 0件は障害ではなく仕様。 設定JSONを疑っても直りません。キーワードを正式名称か、法令名に含まれる固有語に置き換えるのが唯一の対処です。
- さらに厄介なのが改題。 下請法は2026年1月1日に名称そのものが変わっており、旧「正式名称」で引いても0件になります。LLMが記憶している法令名は現行名と一致しない前提で使ってください。
lawIdは改題をまたいでも不変。 一度引き当てたIDを記録しておけば、名称変更に振り回されません。
実測: 通称6語はすべて0件
MCPクライアントを介さず、bin/egov-law-mcp.mjs に直接JSON-RPCを流して search_laws を叩きました(@codeagentjp/egov-law-mcp 0.1.0 / Node.js v22.14.0 / 2026-07-26実行)。
同じ法令を通称と正式名称で引いた結果を並べます。
「フリーランス」が0件で「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が3件、という差が実態をよく表しています。e-Gov法令検索が持っているのは条文と法令名であって、世間で使われる呼び名ではありません。
下請法は名前が変わっている
表の最終行だけ、事情が違います。正式名称のはずの「下請代金支払遅延等防止法」でも0件、「下請」という語だけで引いても0件でした。
改題されているためです。「製造委託」で引くと現れます。
製造委託 -> count=5 - 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 / 昭和三十一年法律第百二十号 / 331AC0000000120 - 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第四条の明示に関する規則 / 令和七年公正取引委員会規則第八号 / 507M60200000008 - 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第七条の書類等の作成及び保存に関する規則 / 令和七年公正取引委員会規則第十号 / 507M60200000010法令番号は昭和三十一年法律第百二十号、lawIdは331AC0000000120。旧下請法と同じものです。公正取引委員会の発表のとおり、2025年5月に改正法が成立し、2026年1月1日施行で名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、取適法)へ変わりました。
通称から正式名称へ寄せる3つの手
1. 固有語で部分一致させる
法令名に必ず含まれる固有語を1語選ぶのが、いちばん確実で速い方法です。実測では以下がヒットしました。
| 入力した固有語 | ヒット | たどり着く法令 |
|---|---|---|
個人情報 | 3件 | 個人情報の保護に関する法律 |
景品類 | 3件 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
特定受託事業者 | 3件 | 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 |
製造委託 | 5件 | 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 |
逆に 下請代金、中小受託取引 はいずれも0件でした。略称として流通している語は、法令名の中に入っていないことがあるという点に注意してください。「中小受託取引適正化法」は通称であって、法令名には「中小受託事業者」としか書かれていません。
2. 対応表をCLAUDE.md / AGENTS.mdに常駐させる
エージェントに毎回言い換えさせるより、指示ファイルへ書いてしまうほうが安定します。
## e-Gov法令MCPを使うときの語彙
egov-law の search_laws は法令名マッチで、通称は 0 件になる。以下は必ず正式名称へ言い換えてから検索する。
| 通称 | 検索に使う語 || --- | --- || 下請法 / 取適法 | 製造委託 (2026-01-01 改題。旧: 下請代金支払遅延等防止法) || フリーランス法 | 特定受託事業者 || 個人情報保護法 | 個人情報の保護に関する法律 || 景表法 | 不当景品類及び不当表示防止法 || 電帳法 | 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類 |
0 件で返ってきたら設定ではなく語彙を疑い、固有語1語での部分一致に切り替える。指示ファイルの書き方そのものはAGENTS.md・CLAUDE.mdの実務テンプレートにまとめています。
3. find_related_laws で施行令・施行規則を回収する
本法だけ読んで判断すると外します。委任先の政省令に実質的な要件が書かれていることが多いためです。find_related_laws は、本法・施行令・施行規則をまとめて返します。
find_related_laws { lawName: "特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律" } [100] 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 / 令和五年法律第二十五号 [100] 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令 / 令和六年政令第二百号 [80] 公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則 / 令和六年公正取引委員会規則第三号 [80] 厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則 / 令和六年厚生労働省令第九十四号施行規則が公正取引委員会と厚生労働省の2本に分かれていることが、一覧して初めて見えます。これは通称からのキーワード検索では気づきにくい構造です。
条文まで取る
法令が特定できたら、get_article に法令番号と条番号を渡します。lawIdでも法令番号でも引けます。
get_article { lawNum: "令和五年法律第二十五号", article: "3" }
(特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)第三条 業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法(…)により特定受託事業者に対し明示しなければならない。…応答には毎回 source.url としてe-GovのAPI URLと出典表記が付きます。エージェントに要約させる場合でも、このURLを最終確認先として本文に残すのが安全です。
なお存在しないlawIdを渡すと、JSON-RPCのエラーとして返ります。ツール結果が空なのかエラーなのかは区別できます。
{ "code": -32000, "message": "e-Gov API returned HTTP 404" }実際に投げているプロンプト
上記をまとめると、Claude Codeへの指示はこうなります。
egov-law MCP を使って、フリーランスへの業務委託で発注時に明示が必要な事項を調べてください。
- 通称では search_laws が 0 件になるので、正式名称か 法令名に含まれる固有語(例: 特定受託事業者)で検索する- 本法だけでなく find_related_laws で施行令・施行規則も確認する- 条文は get_article で原文を取得し、要約とあわせて e-Gov の URL を必ず併記する- 条文に書かれていないことは推測せず「条文上は不明」と書く最後の一行が効きます。MCPを繋いでも、モデルは足りない部分を埋めにいきます。出典が取れなかった箇所を明示させる指示を入れておくと、後から検証できる出力になります。
まとめ
search_lawsは法令名マッチ。通称は0件で返るが、それは仕様である- 「下請法」は2026年1月1日に改題済み。旧正式名称でも引けず、
製造委託で引く - 改題されても
lawId(331AC0000000120)は変わらない。IDで記録するのが堅い - 通称→正式名称の対応表をCLAUDE.mdに置き、
find_related_lawsで政省令まで回収する
法令名は変わります。モデルの記憶ではなく、毎回e-Govに聞く——MCPを挟む理由はそこに尽きます。
一次情報・参考リンク
- e-Gov法令検索: 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120/20260101_507AC0000000041
- 公正取引委員会: 「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/may/250516_toritekiseiritsu.html
- 公正取引委員会: 取適法 https://www.jftc.go.jp/toriteki/
- 中小企業庁: 「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立しました https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250516shitauke.html
- e-Gov 法令API(Version 1)の概要 https://laws.e-gov.go.jp/docs/law-data-basic/8529371-law-api-v1/
- npm: @codeagentjp/egov-law-mcp https://www.npmjs.com/package/@codeagentjp/egov-law-mcp
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